【2025年夏】トッテナムの補強・移籍まとめ|新加入選手について解説

トッテナムは2024-25シーズン、ヨーロッパリーグ優勝という17年ぶりのタイトルを獲得し、長く続いた無冠時代に終止符を打った。

ダニエル・レヴィ会長は、「プレミアリーグやチャンピオンズリーグを制したい」と語っており、チームは明確な野心を持って新たな章へと進もうとしている。

そんな中、2025年夏の移籍市場では、トッテナムがどのような補強を進めているのかに注目が集まっている。

本記事では、

・トッテナムの2024-25シーズンに浮かび上がった課題

・今夏の補強・移籍方針の変化とその背景

・新加入選手たちの特徴やプレースタイル

についてデータとともに詳しく解説する。

この記事を読めば、「今のトッテナムがどのようなチーム作りを目指しているのか」「新加入選手にはどんな強みがあるのか」などがわかるはずだ。

※新たな加入選手が発表され次第、随時更新予定。

※ケビン・ダンソとマティス・テルの特徴やプレースタイルについては、以下の記事で詳しく解説している。

【2025年夏】トッテナムの補強・移籍情報まとめ|新加入選手の特徴と補強戦略を解説

なぜ補強が必要なのか?トッテナムの2024-25シーズンの課題を分析

まず、トッテナムが2024-25シーズンに不安定な戦いを続けた要因について整理しておきたい。

次の項目では、その課題を踏まえ、この夏にクラブがどのような補強方針を打ち出したのかを解説する。

トッテナムは今季、ヨーロッパリーグ優勝という輝かしい成果を挙げた一方で、プレミアリーグでは17位という厳しい結果に終わった。

このようにリーグ戦で失速した最大の要因は、負傷者の続出だった。

実際、トッテナムはシーズン中に41件もの負傷離脱が発生し、選手の欠場日数は合計1,553日にのぼった。この数値はプレミアリーグ全体で2番目に多く、極めて深刻なレベルだった。

(なお、今シーズンはメディカルチームの改革が行われたとの報道もあり、負傷者の減少に期待がかかる)

さらに、怪我人の多さにより、クラブはプレミアリーグでの経験が乏しい若手選手を多く起用せざるを得なかったことも、不安定な戦績の一因となった。

とはいえ、若手にとっては貴重な経験の場となったのも事実だ。

アーチ・グレイは46試合、ルーカス・ベリヴァルは45試合に出場し、加入1年目から多くの実戦経験を積んだ。彼らのさらなる成長にも期待したいところである。

しかし、タイトルを狙うには、主力の離脱によって経験の浅い選手に頼らざるを得ないような状況では限界がある。

リーグ戦やカップ戦を通して安定したパフォーマンスを維持するためには、やはりプレミアリーグでの実績を持つ即戦力の補強が不可欠だと考える。

トッテナムの2025年夏の補強・移籍戦略とは?即戦力×若手育成について

昨シーズンの課題を踏まえ、トッテナムは2025年夏の移籍市場で補強方針を変化させた。

アンジェ・ポステコグルー前監督の時代、クラブは若い才能を見出し、育成することを補強戦略の軸としていた。

しかしシーズン後半、ポステコグルー自身が「トッテナムには、より経験豊富な選手の補強が必要だ」と語っており、その指摘がクラブの方針にも影響を与えた。

特に、今季はチャンピオンズリーグへの出場も控えており、トッテナムは即戦力の獲得を重視する方針へと舵を切っている。

もっとも、これは「若手育成をやめる」という意味ではない。

トッテナムは経験豊富な戦力の補強と同時に、将来性のある若手選手の発掘にも引き続き注力している。実際に、バイエルンからマティス・テルを完全移籍で獲得し、日本人センターバックの高井幸大も迎え入れている。

トッテナムが今夏どこまで「経験」と「若手育成」を両立させた補強を進められるのかは、今後の戦いを占う重要なポイントになるだろう。

【2025年夏】トッテナムの補強・移籍選手一覧。今夏に加入した新戦力まとめ

トッテナムの2025年夏の移籍選手一覧表(選手名・ポジション・背番号・国籍・前所属クラブ)

上記は、トッテナムが2025年に獲得した選手の一覧である。

続いて、各新加入選手の特徴やプレースタイルについて詳しく解説する。

2025年夏トッテナムの新加入選手について徹底解説

モハメド・クドゥス

<基本情報>

ポジション:ウィンガ―

身長:1.77 m

生年月日:2000年8月2日生まれ

利き足:左足

背番号:20番

代表国:ガーナ

前所属クラブ:ウェストハム

【補強分析】なぜトッテナムはモハメド・クドゥスを獲得したのか?

昨シーズンのトッテナムには、ドリブルで局面を打開できる選手がほとんどいなかった。

新監督トーマス・フランクは、攻撃のバリエーションを増やすためにも、優れたドリブラーの補強を強く求めていた。

実際、トッテナムは2024-25シーズン、プレミアリーグで最も多くのドリブルを試みており、その回数は790回にのぼった。

しかし、成功数は308回でリーグ9位、成功率はわずか39.0%と、リーグ最下位という結果に終わった。

このデータからも明らかなように、トッテナムには“仕掛けの質”が足りていなかった。

こうした背景から、今夏の補強では、ドリブル突破に秀でた選手の獲得が最優先事項となっていた。

そこで白羽の矢が立ったのがモハメド・クドゥスである。

クドゥスは昨季のプレミアリーグで92回のドリブル成功を記録し、この数字はマンチェスター・シティのジェレミー・ドク(107回)に次ぐリーグ2位の成績だった。

さらに、90分あたりのドリブル成功数においても、1,000分以上出場した選手の中で、クドゥス(3.2)を上回ったのはドク(6.4)のみだった。

このように、クドゥスはプレミアリーグでもトップクラスのドリブラーであることを証明しており、トッテナムの攻撃に新たな“推進力”をもたらす存在として、即戦力としての活躍が期待されている。

※データは下記を参照している。

Analysis: Kudus' elite dribbling will add edge to Frank's Spurs
Opta Analyst explain what the ex-West Ham winger will bring to Tottenham Hotspur

クドゥスの特徴とプレースタイルについて

1. 圧倒的なドリブル力とデュエルの強さ

クドゥス最大の武器は、優れたドリブル力と1対1でのデュエルの強さにある。

トッテナムが2025年夏に補強したモハメド・クドゥスのプレミアリーグでのスタッツチャート

上のレーダーチャートは、プレミアリーグのウィングの中でのクドゥスの各種スタッツを0〜1のスケールで示したもので、「Successful dribbles(成功したドリブル数)」「Duels won(1対1の勝利数)」が特に高い数値を記録していることがわかる。

さらに、棒グラフでは「Offensive duels(攻撃的デュエル数)」および「Offensive duels won(その勝率)」がともにリーグ1位であることが示されており、攻撃局面での強さは際立っている。

2. ボールを失わないキープ力とフィジカルの強さ

クドゥスは身長175cmと小柄ではあるが、低重心かつ体幹が非常に強く、相手との接触にも簡単には倒れない。

加えて、スピード、バランス、そして強いボディコンタクト能力を備えており、狭いスペースでもボールを保持しながら前進できる。

このキープ力とフィジカルの強さによって、相手ディフェンダーにとっては対応しづらい存在となっている。

トッテナムは攻撃が停滞することがあるので、1人で局面を打開できるクドゥスの存在は貴重だ。

3. 得点力とアシスト力を兼ね備えている

クドゥスはウェストハム時代、公式戦2シーズンで19ゴール・13アシストを記録しており、プレミアリーグに限っても13ゴール・12アシストという数字を残している。

ドリブルで仕掛けるだけでなく、ゴールやアシストにも貢献できる選手だ。

特に、左足から放たれるミドルシュートは威力・精度ともに優れており、単独で試合の流れを変えることができる。

ルカ・ヴシュコヴィッチ

<基本情報>

ポジション:センターバック

身長: 1.93 m

生年月日:2007年2月24 日

利き足: 右

背番号:16

代表国: クロアチア

前所属クラブ:ハイドゥク・スプリト

ルカ・ヴシュコヴィッチ完全移籍。トッテナム2025年補強の注目CBを徹底解説

トッテナムは2023年9月25日、クロアチアの若手センターバック、ルカ・ヴシュコヴィッチの完全移籍加入で合意したことを発表した。

正式な加入は、彼が18歳を迎える2025年夏となった。

ヴシュコヴィッチはハイドゥク・スプリトのアカデミー出身で、2022-23シーズンにトップチームデビューを果たすと、すぐにスタメンに定着。

クラブ史上最年少での出場記録とゴール記録を更新し、将来を嘱望される存在となった。

トッテナムが獲得を発表した後、2023-24シーズンはポーランドのラドミアク・ラドムへ、2024-25シーズンはベルギーのKVCウェステルローへと期限付きで移籍。

特にウェステルローでは公式戦36試合に出場し、センターバックながら7ゴール・3アシストと、セットプレーなどでの得点関与が目立った。

そして2025-26シーズン、いよいよトッテナムに正式加入。

プレシーズン初戦となったレディング戦では1ゴール・1アシストを記録し、加入早々にインパクトを残した。

なお、今シーズンからは高井幸大もチームに加わっており、将来性あふれる2人の若手CBがポジション争いを繰り広げることになりそうだ。

プレシーズンからその競争はすでに始まっており、今後の起用法や成長の過程にも注目が集まる。

データで読み解くルカ・ヴシュコヴィッチの強み。空中戦・奪取力・ビルドアップ能力を兼ね備える逸材

まずはこちらのレーダーチャートをご覧いただきたい。

トッテナムが2025年夏に補強したルカ・ヴシュコヴィッチの守備スタッツチャート。

このチャートは、ルカ・ヴシュコヴィッチのプレーデータを、世界中のU20世代のセンターバックと比較したものである。

数値は0〜1のスケールで表示され、1.00に近いほど「同世代の中でトップクラス」であることを示している。

では、具体的にどの能力が飛び抜けているのか、項目ごとに見ていこう。

・空中戦での強さ

Aerial duels(空中戦の回数)|1.00

Aerial duels won(空中戦勝率)|1.00

ヴシュコヴィッチは193cmという恵まれた体格を活かし、空中戦の回数、そしてその勝率の両方で最高評価を記録している。
相手FWとの競り合いでは圧倒的な存在感を放ち、守備の要としてゴール前を支配する。

・インターセプトとボール奪取能力もトップレベル

Interceptions(インターセプト)|1.00

Possessions won(ボール奪取)|0.96

相手のパスコースを読む力に長け、インターセプト能力は1.00と満点評価。また、フィジカルと予測力を武器に、ボール奪取でも高い数値を記録しており、守備範囲の広さと対応力の高さがうかがえる。

・ビルドアップにも関与できるモダン型のCB

Progressive carries(前進ドリブル)|0.98

Through passes(スルーパス)|0.98

Progressive passes(前進パス)|0.94

ヴシュコヴィッチは単なる「守れるCB」ではなく、「攻撃の起点にもなれるCB」としての資質を持ち合わせている。

ドリブルでボールを運ぶ力、ライン間を通すパス、攻撃を前進させる配球など、いずれも同世代の中でトップクラスの数値を記録している。

・セットプレーでの得点力も魅力

ヴシュコヴィッチは、センターバックながらKVCウェステルローで公式戦7ゴール・3アシストを記録しており、多くの得点がセットプレーから生まれている。

193cmの高さと空中戦の強さを活かし、攻撃時にも大きな武器となる。

現トッテナムのトーマス・フランク監督は、セットプレーやロングスローによる得点を重視するスタイルを採用しており、ヴシュコヴィッチはその戦術においても重要なピースとなるかもしれない。

まだ18歳でありながら、空中戦、読みの鋭さ、ボール奪取、ビルドアップ、さらには得点力までも兼ね備えているセンターバックは、世界的にも稀有な存在だ。

もちろん、世界最高峰のプレミアリーグでいきなり通用するかは未知数だが、これほど多彩な武器を持つ若手CBがどれほど成長していくのか――スパーズファンにとって、大きな楽しみの一つであることは間違いない。

高井幸大

<基本情報>

ポジション:センターバック

身長:1.92m

生年月日:2004年9月4日

利き足:右足

背番号:25

代表国:日本

前所属クラブ:川崎フロンターレ

2025年7月8日、トッテナムは日本人センターバック・高井幸大の加入を正式に発表した。

日本人選手としては、現在解説者としても活躍する戸田和幸氏に続き、クラブ史上2人目の加入となる。

高井選手については、以下の記事で詳しく解説している。

・経歴とプレースタイル

・トッテナムが彼を獲得した理由

・トーマス・フランク監督の戦術との相性

・プレミアリーグおよびUEFA大会での出場資格の可否

これらのポイントを網羅しているので、ぜひあわせてご覧いただきたい。

ジョアン・パリ―ニャ

<基本情報>

ポジション:守備的ミッドフィールダー

身長:1.90 m

生年月日:1995年7月9日

利き足:右足

背番号:6

代表国:ポルトガル

前所属クラブ:バイエルン

トッテナムがパリーニャを補強した理由|守備的MF不足を埋める理想の存在

トッテナムは8月3日、バイエルンからジョアン・パリーニャをレンタルで獲得したことを発表した。

彼を獲得した理由は、チームに不足している守備的中盤の存在を補うためである。

新監督トーマス・フランクは、ブレントフォード時代に守備的MFクリスチャン・ノアゴールを中心に中盤を構築していた。

彼のボール奪取力(リーグ戦193回でチーム最多)や空中戦の強さ(勝率61.9%)がチームに安定感をもたらしていた。


トーマス・フランクはトッテナムでも同様の役割を担える選手を求めており、そこで白羽の矢が立ったのがパリーニャだ。

彼もフラム時代にボール奪取数やデュエル勝率、空中戦勝率において素晴らしい数字を出している。(詳細は次の項目で説明する。)

このような実績から、トッテナムにとって理想的な補強ターゲットとなった。

パリ―ニャの特徴とプレースタイルについて

圧倒的なタックル数

パリ―ニャは、プレミアリーグ屈指のタックル数を誇る「潰し屋」だ。

プレミアリーグ初挑戦の2022-23シーズン、パリ―ニャは148回のタックルを記録し、リーグ1位であった。

2023-24シーズンは、前シーズンより2試合少ない33試合の出場ながら、タックル数を152回に増やした。

2シーズン合計300回は当然リーグ最多で、2位のモイセス・カイセド(191回)に109回もの差をつけている。

この圧倒的なタックル数が示す通り、パリ―ニャは相手の攻撃を潰す守備的MFとして、トッテナムの中盤に大きな安定感をもたらす存在となるだろう。

デュエル勝率&空中戦の強さ

パリ―ニャはタックルだけでなく、デュエルにおいても高い成績を残している。

2022-23シーズンは487回のデュエルに挑み、勝率59.1%でリーグ2位であった。

空中戦でも112回中64.3%の勝率を残し、この数字を上回ったMFはロドリただ一人だった。

続く2023-24シーズンも、リーグ8位となる425回のデュエルに挑み、勝率60.9%をマーク。空中戦では72回中56.9%の勝率を収め、その安定した強さを証明した。

※データは下記を参照している。

João Palhinha Adds Much-Needed Steel to Spurs’ Midfield, But Is His Passing Too Limited? | Opta Analyst
With João Palhinha close to signing for Tottenham on loan, we look to see why Thomas Frank wants him back in the Premier League.

トッテナムMF陣との比較|パリーニャ加入で中盤守備はどう変わる?

次に、パリ―ニャとトッテナムのMF選手の比較を見ていく。

下記の図は、パリ―ニャとベンタンクール、ビスマ、サールの能力を比較したものである。
※データは、パリ―ニャがフラムに在籍していた23-24シーズンのである。

トッテナム新加入ジョアン・パリーニャとベンタンクール、ビスマ、サールの23/24シーズン比較データ。デュエル勝率やボール奪取率でパリーニャが高数値を記録し、守備力の高さが際立つ。

このデータから、パリ―ニャはデュエル勝率(Duel%)ボール奪取率(Poss won)で際立った数値を残していることが分かる。特にボール奪取率は98.9%と驚異的で、相手の攻撃を寸断し、自由なプレーを許さない守備力が光る。

彼が中盤に加われば、トッテナムはより強固な守備ブロックを築き、セカンドボール回収や中盤での主導権争いで優位に立つことが期待できる。

シャビ・シモンズ

<基本情報>

ポジション:攻撃的ミッドフィルダー

身長:1.79m

生年月日:2003年4月21日

利き足:右足

背番号:7

代表国:オランダ

前所属クラブ:RBライプツィヒ

複数ポジションで輝く攻撃の起点

トッテナムは移籍期間の終盤にシャビ・シモンズを獲得した。
クルゼフスキとマディソンが長期離脱となり、チームには「10番タイプ」の選手が不在だったが、ようやくその穴を埋められる補強となった。

ここからは、ヒートマップなどを用いながらシモンズのプレーエリアを確認していきたい。

シャビ・シモンズのポジション別成績表。左ウィンガーでは59試合出場18ゴール17アシスト、攻撃的ミッドフィルダーでは42試合で19ゴール12アシスト、右ウィンガーでは27試合で7ゴール6アシストを記録。
引用元:https://www.transfermarkt.jp/

シャビ・シモンズはこれまでのキャリアで主に左ウィンガ―としてプレーしてきたが、攻撃的ミッドフィールダー(中央)や右ウィンガ―としても起用されており、複数のポジションに対応できる柔軟性を持っている。

シャビ・シモンズのヒートマップ。主に左サイドと中央でプレーし、左ハーフスペースやペナルティエリア手前で活動量が多い。中盤まで下がって組み立てに関与しつつ、攻撃の起点となる動きが目立つ。
引用元:https://www.sofascore.com/

次に2025-26シーズンのブンデスリーガにおけるヒートマップを見ると、プレーエリアは左サイドと中央に広がっている。

特に相手陣地の左ハーフスペースやペナルティエリア手前での活動が多く、攻撃の起点となる動きが目立つ。

また、中盤まで下がってボールを受け、ビルドアップにも関与する場面が多い。

サイドで仕掛けるだけでなく、中央に移って創造的なプレーを展開できる点が、シモンズの大きな特徴といえる。

シャビ・シモンズの特徴とプレースタイルについて

パス試行数と前進パスで示す攻撃の存在感

シャビ・シモンズのスタッツ比較表。
FBref.comのデータ。シャビシモンズの直近1年間の記録を5大リーグのセンターバックと比較した数値。

FBrefのデータを見ると、シャビ・シモンズはパス試行数(Passes Attempted)88前進パス(Progressive Passes)89と、いずれも非常に高い数値を記録している。

パス試行数は選手が試合でどれほどボールに関与しているかを示す「量」の指標であり、シモンズは中盤やサイドでボールを受け、攻撃のリズムを生み出している。

一方、前進パスはゴールに近づく「質」を示す指標で、彼は縦への鋭い配球で相手守備を切り裂き、チームを前へと押し上げる。

量と質の両面で存在感を放つシモンズは、プレーメーカーとしてトッテナムの攻撃を牽引する存在になる可能性が高い。

高いSCAが示すチャンス創出力

また、「Shot Creating Actions(SCA)」も84と高く、チャンス創出能力の高さが際立つ。

SCAとは、シュートに直結するパスやドリブル、被ファウルなどを数値化した指標で、単なるアシストだけでなく攻撃の起点としての働きを評価できる。

シモンズは中盤やサイドでボールを受けると積極的に仕掛け、味方のシュートにつなげるプレーを数多く生み出している。

データからも、彼がトッテナムの攻撃に創造性をもたらすキーマンであることが読み取れる。

ランダル・コロ・ムアニ

<基本情報>

ポジション:フォワード

身長:1.87m

生年月日:1998年12月5日

利き足:右足

背番号:39

代表国:フランス

前所属クラブ:パリ・サンジェルマン

トッテナムは移籍最終日に、パリ・サンジェルマンからランダル・コロ・ムアニを期限付きで獲得した。

契約には買取オプションは含まれていない。

チームにはリシャルリソンとソランケという2人のセンターフォワードがいるが、リシャルリソンは怪我が多く、ソランケもプレシーズンから足首の状態が万全ではない。

そのため、前線の選手層が薄くなるリスクを踏まえ、今回コロ・ムアニを補強する判断に至った。

コロ・ムアニの特徴とプレースタイルについて

コロムアニのスタッツ比較表。
FBref.comのデータ。コロムアニの直近1年間の記録を5大リーグのセンターバックと比較した数値。
リシャルリソンとソランケのスタッツ比較表。

FBref.comのデータ。リシャルリソンとソランケの直近1年間の記録を5大リーグのセンターバックと比較した数値。

ドリブル突破力とゴール前での積極性

まずはFBrefのデータから、コロ・ムアニの特徴とプレースタイルを見ていこう。

注目すべきはドリブル突破(Successful Take-Ons)の数値で94という非常に高い数値を記録している点だ。

リシャルリソンが8、ソランケが66と比較的低めであることを踏まえると、コロ・ムアニはトッテナムにこれまでいなかった「ドリブル突破を強みとしているセンターフォワード」と言える。

さらに、ペナルティエリア内でのタッチ数(Touches Att Pen)も90と高い。

これはゴール前で積極的にボールに関与し、決定的な場面に絡めるストライカーであることを示している。

巧みなポジショニングとオフザボールの動き

FBrefのデータの中で最も高かったのが、Progressive Passes Rec(前進パスの受け取り回数)の95という数値だ。

この指標から分かるのは、コロ・ムアニのオフザボールの動きが非常に優れているという点である。

彼はボールを持っていない場面でも、巧みなポジショニングで味方が縦パスを通しやすい状況を生み出している。

もしかしたら、コロ・ムアニはチームの攻撃を加速させる重要な役割を果たすかもしれない。

得点力とアシスト力

コロ・ムアニのポジション別成績。センターフォワードで165試合60ゴール36アシスト、右ウィンガーで22試合5ゴール4アシスト、左ウィンガーで12試合5ゴール1アシスト、セカンドストライカーで3試合1アシストを記録。
https://www.transfermarkt.jp/

上記の表はコロ・ムアニのポジション別の出場数・ゴール数・アシスト数を表にしたものである。

ここで注目したいのはゴールだけでなく、アシスト能力も高いことである。

実際、2022-23シーズンには全コンペティションで40得点に関与(23ゴール・17アシスト)している。

先ほど触れた「ゴール前で積極的にボールに関与する」特徴と合わせると、コロ・ムアニは単に得点を奪うストライカーではなく、味方を活かしながらアシストでも貢献できる選手だと分かる。

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