トッテナムのエンブレムはなぜ“雄鶏”なのか?意味・由来・歴史を分かりやすく解説

この記事では、トッテナムのエンブレムについて分かりやすく解説していく。

「なぜトッテナムのロゴには“鶏”が描かれているのか?」

実はそこには、クラブのルーツと深く結びついた明確な理由がある。

前半では、クラブ名の由来となった人物や、トッテナムがどのように誕生したのかを紹介する。

そして後半では、その歴史がどのようにエンブレムへと形になっていったのかを見ていく。

エンブレムに込められた意味を知ると、「トッテナムがどんなクラブなのか?」より深く理解できるはずだ。

トッテナムのエンブレムの象徴である雄鶏とサッカーボールの銅像

クラブ名の由来となった騎士ハリー・ホットスパー

トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)というクラブ名は、15世紀のイングランドに実在した騎士ヘンリー・パーシーに由来する。

彼は通称「ハリー・ホットスパー(Harry Hotspur)」と呼ばれ、英国史に名を残す名将として知られていた。

「ホットスパー」というあだ名にはいくつかの説がある。

ひとつは、闘鶏(fighting cock)を好んだという逸話に基づく説である。

闘鶏では二羽の雄鶏が戦い、その脚には「spur(スパー)」と呼ばれる鋭い突起がある。そこから、雄鶏=戦う象徴として「Hotspur」につながったと考えられている。

もうひとつは、スコットランドとの戦いで見せた彼の戦い方に由来する説である。

ハリー・ホットスパーは馬を駆りながら突撃する戦法を得意としており、その際に拍車(spur)を激しく蹴って前へ進んだことから、戦場で彼を目にしたスコットランド兵が「Hotspur(熱い拍車の男)」と呼んだとされる。

このようにして「Hotspur」という名前は、勇気・突進力・闘志 の象徴として広く知られるようになった。

トッテナムの始まり。クリケットクラブとして誕生

トッテナムのクラブは、もともと1880年代にクリケットチームとして誕生した。
2組の兄弟がクリケットを始めたことがきっかけである。
そのうちの一組が、騎士ハリー・ホットスパーの物語に強く魅了されていたといわれている。

彼らは、勇気と闘志を象徴するその名をクラブに重ね合わせ、クリケットクラブ、そして後に発展したサッカークラブにも「Hotspur」の名を採用した。

これが トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur) という名称の由来である。

なぜトッテナムのエンブレムは“雄鶏”なのか

トッテナムのクラブエンブレムのシンプルなロゴ画像

トッテナムのエンブレムに描かれている雄鶏(コッカレル)は、クラブ名の由来となった騎士ハリー・ホットスパーに深く関係している。

彼は闘鶏に関心を持っていたとも伝えられており、当時、雄鶏は「挑戦する心」「戦い続ける意志」の象徴とされていた。

そのためクラブは、勇気を持って前へ進み、挑戦し続ける姿勢を表すシンボルとして雄鶏をエンブレムに採用した。

雄鶏は、トッテナムがどんなクラブでありたいのかを示す存在である。

ひるむことなく戦い、挑み続ける――その精神を体現している。

トッテナムのエンブレムに使われるネイビーと白の意味

トッテナムのロゴを形作る二つの色にも、クラブの歴史と精神が深く込められている。

まず、深みのあるネイビーブルーは、クラブが大切にしてきた力強さ・プロ意識・威厳を象徴する色である。

この色は1898年シーズンから使用され続けており、長い年月の中で選手とサポーターが共有してきた“スパーズらしさ”を表している。

そして、そのネイビーと調和する白(リリーホワイト)は、クラブのもう一つの象徴である。

この白は純粋さとシンプルさを示しており、クラブの愛称である「リリーホワイツ」とも深く結びついている。

トッテナムの雄鶏像に受け継がれるクラブの象徴

トッテナムのエンブレムの象徴である雄鶏とサッカーボールの銅像が、トッテナム・ホットスパー・スタジアムに設置されている様子

ここまで、トッテナムのエンブレムについて解説してきた。

このエンブレムはユニフォームに使用されているだけでなく、トッテナム・ホットスパー・スタジアムにも銅像として姿を残している。

ここでは、その雄鶏像の歴史について解説する。

トッテナムの象徴である雄鶏とボールのモチーフは、1909年に元選手であったウィリアム・ジェームズ・スコットが制作した銅像が起源である。

1900年代初頭、クラブが1部リーグで戦う準備としてスタジアムを改修した際、革製のサッカーボールの上に立つ雄鶏の像が設計された。

こうして完成したブロンズ製の雄鶏像は、ホワイト・ハート・レーンの西スタンド屋上に設置され、その後107年間にわたりクラブを見守り続けた。

トッテナムが新スタジアム建設のためにウェンブリーへ一時移転した際、この雄鶏像はクラブへと返還される。

そして、新しい本拠地であるトッテナム・ホットスパー・スタジアムの屋上に再び設置され、今もなおクラブの象徴として輝き続けている。

最後に

トッテナムのエンブレムに描かれた雄鶏は、クラブ名の由来となった騎士ハリー・ホットスパーが象徴した、勇気・誇り・挑戦し続ける心を受け継ぐ存在である。

また、ネイビーブルーとリリーホワイトの配色には、スパーズが長い歴史の中で育んできた伝統とアイデンティティが込められている。

さらに、ホワイト・ハート・レーンの屋根に長年立ち続けた雄鶏像は、クラブが歩んできた時代を象徴し、スパーズの精神を見守り続けてきた存在である。

そして、トッテナムには大切なクラブモットーがある。

「To Dare Is To Do(挑戦なくして成功なし)」

これは、何かを成し遂げるためには、勇気を持って一歩踏み出すことが必要だという意味を持つ。

雄鶏は、その精神を体現している。

胸を張り、迷わず前へ進む姿こそが、トッテナム・ホットスパーというクラブの本質である。

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