「トッテナムの歴代監督って誰がいた?」
「ポステコグルーやコンテ以前にはどんな監督がいたの?」
「一番勝率が高い監督は?」
そんな疑問を持っている方も多いでしょう。トッテナムは監督交代のたびに戦術やチームカラーが大きく変化してきました。
しかし、歴代監督を一覧で紹介するだけでは、それぞれがクラブに残した功績や現在のチームにつながる背景までは分かりません。
本記事では、アンドレ・ビラス・ボアス以降のトッテナム歴代監督について、在任期間や実績、戦術の特徴を分かりやすく解説します。
監督交代の歴史を振り返れば、現在のトッテナムがどのように形作られてきたのか、その流れまで理解できるはずです。
※成績はリーグ戦の数字で、カップ戦などの成績は反映していません。
トッテナム歴代監督一覧

アンドレ・ビラス・ボアス

どんな監督?
アンドレ・ビラス・ボアスは、ハイプレスとハイラインを軸に主導権を握るサッカーを志向した監督である。
2012年7月にトッテナムの監督へ就任すると、ガレス・ベイルを中心とした攻撃陣を武器に、初年度はクラブ歴代最高となるプレミアリーグ勝ち点72を記録した(2013年時点)。
戦術
4-2-3-1をベースに、ポゼッションとハイプレスを組み合わせた攻撃的なサッカーを志向した。
特に、ガレス・ベイルを左サイドだけでなく中央でも起用し、その突破力や決定力を最大限に生かした攻撃が特徴である。一方で、高い最終ラインを採用したことで守備の背後を突かれる場面も少なくなかった。
なぜ解任された?
就任初年度は成功を収めたものの、2013年夏にエースのガレス・ベイルがレアル・マドリードへ移籍した。移籍金をもとに大型補強を行ったが、新加入選手が期待どおりの活躍を見せられず、チーム力は低下した。
さらに、マンチェスター・シティに0-6、リヴァプールに0-5で敗れるなど大敗が続き、チームの求心力も低下。リヴァプール戦後にはクラブ批判とも受け取れる発言をしたことも影響し、2013年12月に解任された。
ティム・シャーウッド

どんな監督?
ティム・シャーウッドは、4-4-2や4-2-3-1をベースに、縦に速い攻撃を重視する監督である。
2013年12月、アンドレ・ビラス=ボアスの後任としてトッテナムの監督に就任。リーグ戦では勝率59.1%を記録し、チームを立て直した。
戦術
シャーウッドは前任のビラス=ボアスよりも選手の自由度を高め、前線の個性を生かした攻撃を展開した。特にエマニュエル・アデバヨールを重用し、攻撃陣のパフォーマンスを引き出した。
また、ハリー・ケインやナビル・ベンタレブなど若手選手に出場機会を与えたことも、シャーウッド政権の大きな特徴である。
なぜ退任した?
シャーウッドは途中就任ながらチームを6位まで押し上げましたが、クラブは長期的なプロジェクトを任せる監督を求めていた。
そのため、クラブはシャーウッドではなく、サウサンプトンで高い評価を受けていたマウリシオ・ポチェッティーノを招聘した。
マウリシオ・ポチェッティーノ

どんな監督?
マウリシオ・ポチェッティーノは、ハイプレス・ハイラインの戦術をもとにトッテナムをプレミアリーグの強豪へ押し上げた。
2014年に就任すると、ハリー・ケインやデレ・アリ、ソン・フンミンらを中心としたチームを作り上げ、プレミアリーグ優勝争いやクラブ史上初となるUEFAチャンピオンズリーグ決勝進出を果たした。
タイトル獲得には届かなかったものの、近年のトッテナムを語るうえで欠かせない名将の一人である。
戦術
ポチェッティーノは4-2-3-1をベースに、前線から積極的にボールを奪うハイプレスを軸としたサッカーを採用した。
攻守の切り替えが非常に速く、ボールを失った直後にプレッシャーをかけて高い位置でボールを奪い返すスタイルが特徴である。
また、ハリー・ケインやデレ・アリなど若手選手の成長を促し、個々の能力を最大限に引き出した。
豊富な運動量と組織的な守備を武器に、トッテナムを優勝・CL争いへ導いたことから、クラブの黄金期を築いた監督として高く評価されている。
なぜ解任された?
2018-19シーズンにはクラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝へ進出したものの、翌シーズンはリーグ戦で低迷した。
長年主力だった選手のコンディション低下に加え、補強が十分に行われなかったことも影響し、思うように勝ち点を積み上げられなかった。クラブは状況を打開するため、2019年11月にポチェッティーノの解任を決断した。
ジョゼ・モウリーニョ

どんな監督?
ジョゼ・モウリーニョは、堅守速攻を武器に数々のタイトルを獲得してきた世界屈指の名将である。
2019年11月にマウリシオ・ポチェッティーノの後任として就任し、低迷していたチームの立て直しを託された。ハリー・ケインとソン・フンミンを中心としたカウンターアタックで結果を残した。
戦術
モウリーニョは4-2-3-1をベースに、堅守速攻を軸とした戦術を採用した。
守備ではコンパクトなブロックを形成して相手にスペースを与えず、ボールを奪うと少ない手数で一気にゴールへ迫るカウンターを徹底。
ハリー・ケインが中盤まで下がって起点となり、そのスペースへソン・フンミンが抜け出す形は、トッテナムを代表する攻撃パターンとなった。この戦術によって、ケインとソンはプレミアリーグ屈指の攻撃コンビへと成長した。
なぜ解任された?
2020-21シーズンはリーグ戦で一時首位に立つなど好スタートを切ったものの、その後は徐々に失速。守備的な戦い方への批判も強まり、順位を落としていった。
さらに、UEFAヨーロッパリーグではディナモ・ザグレブに逆転負けを喫してベスト16で敗退。成績不振を受け、クラブはマンチェスター・シティとのカラバオカップ決勝を6日後に控えた2021年4月19日にモウリーニョの解任を発表した。
ライアン・メイソン

どんな監督?
ライアン・メイソンはトッテナムのアカデミー出身で、2021年4月にジョゼ・モウリーニョ解任後の暫定監督へ就任すると、29歳でプレミアリーグ史上最年少監督となった。
その後、2023年にもクリスティアン・ステッリーニの後任として再び暫定監督を務め、シーズン終了までチームを率いた。
戦術・特徴
メイソンは4-2-3-1や4-3-3をベースに、攻撃的なサッカーを志向した。
暫定監督という立場だったこともあり、大きく戦術を変更するのではなく、選手が持つ攻撃力を引き出すことを重視。
ハリー・ケインやソン・フンミンを中心とした速い攻撃を軸に、前線から積極的にプレッシャーをかけるスタイルを採用した。
ヌーノ・エスピリト・サント

どんな監督?
ヌーノは、堅守をベースに素早いカウンターを狙うサッカーを志向した指揮官である。2021年7月、ジョゼ・モウリーニョの後任として就任した。
戦術・特徴
ヌーノは4-3-3や4-2-3-1をベースに、堅守速攻を軸とした戦術を展開した。
守備ではコンパクトなブロックを形成し、相手にスペースを与えないことを重視。ボールを奪うと、ソン・フンミンやルーカス・モウラのスピードを生かした速攻でゴールを狙った。
一方で、ボール保持時の崩しには課題があり、相手に引いて守られる展開では決定機を作れない試合も少なくなかった。攻撃の形を確立できなかったことが、成績低迷の要因の一つとなった。
なぜ解任された?
開幕3連勝で首位に立ったものの、その後はチーム状態が急激に悪化。
特にホームでマンチェスター・ユナイテッドに0-3で敗れた試合では内容面も振るわず、クラブは2021年11月にヌーノの解任を発表。わずか約4か月で政権に幕を下ろした。
アントニオ・コンテ

どんな監督?
アントニオ・コンテは、3バックを軸とした組織的な守備と鋭いカウンターを武器に、各クラブで結果を残してきた。2021年11月、ヌーノ・エスピーリト・サントの後任として就任すると、低迷していたチームを立て直し、就任1年目でチャンピオンズリーグ出場権獲得に導いた。
戦術・特徴
コンテは3-4-3や3-4-2-1をベースに、堅守速攻を徹底した。
守備では5バック気味のブロックを形成して相手の攻撃を封じ、ボールを奪うと素早く前線へ展開。ハリー・ケインの展開力やソン・フンミンの裏抜けを生かしたカウンターを得意とした。
また、両ウイングバックを高い位置まで押し上げ、サイドからチャンスを作ることも特徴である。
なぜ退任した?
就任初年度はチャンピオンズリーグ出場権獲得という結果を残したものの、2022-23シーズンは安定した戦いができなかった。
さらに、2023年3月のサウサンプトン戦後には「選手は利己的だ」「クラブは20年間何も勝っていない」など、選手やクラブを公然と批判。この発言が決定打となり、クラブは双方合意のもと契約を解除した。
クリスティアン・ステッリーニ

どんな監督?
クリスティアン・ステッリーニは、アントニオ・コンテの右腕として長年チームを支えてきた指導者である。2023年3月、コンテ退任後に暫定監督へ就任した。
戦術・特徴
ステッリーニは3-4-3をベースに、コンテ時代の戦術を継続した。
守備では5バック気味のブロックを形成し、ボールを奪うとハリー・ケインやソン・フンミンを生かしたカウンターを狙うスタイルを採用。ウイングバックを高い位置まで押し上げる戦術も引き続き採用し、大きな戦術変更は行わなかった。
なぜ解任された?
ステッリーニは就任後4試合で1勝1分2敗と苦戦。特に2023年4月23日のニューカッスル戦では、開始21分で5失点を喫し、最終的に1-6で大敗した。
クラブはこの結果を重く受け止め、ステッリーニの解任を発表。残りシーズンはライアン・メイソンが暫定監督としてチームを率いることになった。
アンジェ・ポステコグルー

どんな監督?
アンジェ・ポステコグルーは、ハイラインとハイプレスを軸に、攻撃的なポゼッションサッカーを展開する監督である。
2023年7月に就任すると、攻撃的なスタイルでチームを改革し、開幕からプレミアリーグ10試合無敗を記録。2年目にはクラブを17年ぶりのタイトル獲得へ導き、UEFAヨーロッパリーグを制覇した。
戦術・特徴
ポステコグルーはハイラインとハイプレスを軸とした攻撃的なサッカーを採用した。
GKを含めて後方からボールをつなぎ、SBが中央へ絞る「偽サイドバック」を取り入れることで中盤の数的優位を作り出す。ボールを失った直後には素早くプレッシャーをかけ、高い位置でボールを奪い返して一気にゴールへ迫るスタイルが特徴である。
前線から積極的に攻め続ける姿勢は多くのファンを魅了し、「Ange Ball(アンジ・ボール)」として親しまれた。
なぜ退任した?
就任初年度は開幕から好成績を収めたものの、負傷者の増加もあり、リーグ戦は5位で終了。2年目も主力選手の離脱に苦しみ、プレミアリーグでは17位と低迷した。
一方で、UEFAヨーロッパリーグでは決勝でマンチェスター・ユナイテッドを破り、クラブに17年ぶりの主要タイトルをもたらした。しかし、クラブはリーグ戦の成績を重視し、2025年6月にポステコグルーの退任を発表した。
トーマス・フランク

どんな監督?
トーマス・フランクは、試合状況に応じて戦い方を変化させる。また、セットプレーやロングスローを重要な攻撃手段として活用することでも知られている。
2025年6月にアンジェ・ポステコグルーの後任として就任。ブレントフォードで限られた戦力をプレミアリーグ定着へ導いた手腕が評価され、トッテナムの再建を託された。
戦術・特徴
フランクは4-2-3-1や4-3-3をベースに、相手や試合状況に応じてシステムを変化させる柔軟な戦術を採用している。
また、セットプレーを重要な得点源と位置付けていることも大きな特徴である。コーナーキックやフリーキックでは綿密に設計されたデザインプレーを数多く採用し、多くの得点を生み出してきた。さらに、ロングスローも攻撃の一つとして積極的に活用している。
なぜ解任された?
開幕当初は順調なスタートを切ったものの、その後は急激に失速。2026年2月のニューカッスル戦敗戦後にはリーグ16位まで順位を落とした。ホームでの勝ち点も伸びず、サポーターやクラブ首脳陣の不満が高まっていった。
クラブは成績と内容を総合的に判断し、2026年2月にフランクの解任を発表。ブレントフォードで高く評価された手腕をトッテナムで発揮することはできず、約8か月で政権に幕を下ろした。
イゴール・トゥドル

どんな監督?
イゴール・トゥドルは、3バックをベースに、前線から積極的にプレッシャーをかける攻撃的なサッカーが特徴である。
2026年2月、成績不振で解任されたトーマス・フランクの後任として監督に就任した。
戦術・特徴
トゥドルは3-4-2-1をベースに、前線から激しくプレッシャーをかけるハイプレスと縦に速い攻撃を志向した。
守備ではマンツーマン気味のアプローチで相手に自由を与えず、高い位置でボールを奪って素早くゴールへ迫るスタイルを志向した。また、攻撃時はウイングバックを高い位置まで押し上げ、サイドから積極的にチャンスを作ることを重視していた。
なぜ退任した?
トゥドルは残留争いに巻き込まれたチームの立て直しを託されたものの、就任後7試合で1勝1分5敗と結果を残せなかった。
プレミアリーグでは5試合で4敗1分と勝利を挙げられず、チームは降格圏まで勝ち点1差という厳しい状況に陥った。さらに、チャンピオンズリーグでもベスト16で敗退し、クラブは成績不振を受け双方合意による契約解除を発表した。
まとめ

アンドレ・ビラス=ボアス以降のトッテナムは、たびたび監督交代を繰り返しながら、それぞれ異なる戦術や哲学でチーム作りを進めてきた。
上記の表を見ると、リーグ戦勝率ではシャーウッドが59.1%でトップとなっている。一方で、長期政権という点ではポチェッティーノが202試合を指揮し、勝率55.9%、平均勝ち点1.89を記録するなど、安定した成績を残したことが分かる。
※試合数が20試合未満の監督は、短期間での指揮となり勝率が変動しやすいため、別枠で掲載している。
一方で、勝率だけでは監督の評価は決められない。例えば、ポステコグルーは17年ぶりの主要タイトル獲得など、数字には表れない功績を残している。
26-27シーズンはロベルト・デ・ゼルビがチームを率いる。歴代監督が築いてきた実績と比較して、どこまで成績を残せるのか注目したい。


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