【選手解説】トッテナムの至宝ハリー・ケイン。その驚異的な成績とプレースタイル、移籍について

トッテナムのレジェンドであるハリー・ケイン。

彼はアカデミー選手からトップチームのレギュラーに定着し、数々の記録を築いた。

ここでは、ハリー・ケインの驚異的な成績とプレースタイル、移籍について一挙に振り返る。

成績

まずはハリー・ケインの成績についてまとめてみた。

彼はトッテナム時代に、435試合に出場して280ゴール、61アシストを記録している。

各シーズンの成績は下記の通りである。

<代表の成績について>

ハリー・ケインはイングランドの歴代最多得点選手である。

彼は、2023年3月に行われたEURO 2024予選のイタリア戦で54ゴール目を挙げた。

このゴールにより、ウェイン・ルーニーが保持していたイングランド代表の史上最多得点数を更新した。

強み・プレースタイル

得点能力

ハリー・ケインの最大の武器は、抜群のフィニッシュ力である。

ペナルティボックス内外から自在に得点を狙え、右利きながらも左足で質の高いシュートを放ち、どの場面からでもゴールを脅かすことができる。

さらに、空中戦も得意とし、プレミアリーグで数々のヘディングゴールを決めてきた。

そのことが伝わるデータが、下記数字である。

この数字こそ、ハリー・ケインが万能ストライカーであることを物語っている。

パスとチャンスメイク

ハリー・ケインは優れたストライカーであると同時に、チャンスメーカーとしても輝きを放っている。

モウリーニョ監督の時代に、彼は得点役の「9番」と、攻撃を組み立てる「10番」を兼ね備えたハイブリッドな選手へと進化した。

試合中、ハリー・ケインは中盤に下がってボールを散らしたり、サイドに正確なパスを供給したりして、スパーズの攻撃を組み立てる。

そのパス能力は、カウンター攻撃戦略において欠かせない存在となっている。

彼の正確なロングボールは、ソン・フンミンやルーカス・モウラ、ベルフワインの動きにぴったり合わせて供給され、スピードを活かしたカウンター攻撃につながっている。

フィジカルとポストプレー

ハリー・ケインは188cmの長身と優れたフィジカルを持ち、空中戦での強さが際立っている。

また、背中をディフェンダーに向けてボールをキープし、チームメイトにパスを供給する「ポストプレー」にも長けている。

体格を活かしたフィジカルで相手にボールを奪われにくく、チームの攻撃の起点となる。

ハリー・ケインは前線でボールをしっかりとキープし、味方選手へ効果的なパスを繋げることで、単なるゴールゲッターにとどまらず、チーム全体の攻撃を支えている。

経歴&移籍

幼少期

ハリー・ケインは8歳の時にアーセナルのユースアカデミーに所属していたが、「少し太っている」「運動量が少ない」と判断され、わずか1シーズンで放出される。

その後、ワトフォードのアカデミーで活躍したことをきっかけに、トッテナムのユースチームへ加入した。

ユース&レンタル移籍時代

2010年7月、ハリー・ケインはトッテナムとプロ契約を結ぶ。

2011年1月、レイトン・オリエントへレンタル移籍し、18試合で5ゴールを記録。

同年8月には、ヨーロッパリーグ予選ハーツ戦でトッテナムのトップチームで初出場を果たし、12月にはシャムロック・ローヴァーズ戦で初ゴールを決めた。

トッテナムでの初ゴール

2011-2012シーズン後半にはミルウォールにレンタル移籍し、27試合で9ゴールをマーク。

ミルウォールの降格危機脱出に貢献した。

翌シーズン、プレミアリーグのニューカッスル戦でデビューを果たすが、出場機会を求めてノリッジ・シティへレンタル移籍。

しかし、怪我で長期離脱を余儀なくされ、苦しいシーズンとなってしまった。

トップチーム定着、クラブのレジェンドへ

<2013-2014シーズン>

2013-14シーズン、ハリー・ケインは当初トップチームの出場機会がほとんどなかったが、ティム・シャーウッド監督の就任でチャンスが訪れる。

4月のサンダーランド戦でプレミアリーグ初先発・初ゴールを決め、続くウェスト・ブロム戦とフラム戦でも得点を記録し、トップチームでの実力を証明した。

プレミアリーグ初ゴール

<2014-2015シーズン>

このシーズン、ハリー・ケインはついにトップチームのレギュラーに定着。

アストン・ヴィラ戦で決勝ゴールを決め、ヨーロッパリーグのアステラス戦では自身初のハットトリックを達成。

このシーズンは合計30ゴール以上を挙げ、PFA年間最優秀若手選手にも選出された。

ちなみに、プロ初のハットトリックを達成した試合で、ハリー・ケインはウーゴ・ロリスが退場となったため、GKとしてプレーし、自身のミスからゴールを許してしまった。

GKとしてプレーしているケイン。ミスから失点を許してしまう

<2015-2016シーズン>

この年、ハリー・ケインは背番号を「18」から「10」に変更。

トッテナムにとって欠かせない存在となり、サウサンプトン戦でトッテナムでの100試合出場を達成。

2016年1月には50ゴール目を記録し、さらに25ゴールで初のゴールデンブーツを獲得した。

<2016-2017シーズン>

2016年9月、ケインはチャンピオンズリーグに初出場する。

リーグ戦では、ウェスト・ブロム戦でハットトリックを決めるなど、快進撃を続けた。

FAカップ5回戦とストーク戦では2試合連続のハットトリックも記録。

シーズン終盤、レスター戦で4ゴール、ハル戦でハットトリックを達成し、2年連続のプレミア得点王に輝いた。

<2017-18シーズン>

9月のエバートン戦で、ハリー・ケインは169試合目の出場でクラブ通算100ゴール目を達成。

その後、5度目のプレミアリーグ月間最優秀選手賞を受賞し、CLグループステージのAPOEL戦ではハットトリックを決めた。

2017年9月はクラブと国際試合を合わせて10試合で13ゴールを挙げ、キャリア最高の月となった。

また、12月末のバーンリー戦、翌日のサウサンプトン戦でハットトリックを達成し、アラン・シアラーの持つ年間36ゴール記録を超える39ゴールで2017年を締めくくった。

さらに、年間56ゴールでメッシとロナウドの記録を超え、欧州年間得点王に輝いた。

翌年2月のリバプール戦ではアディショナルタイムにPKを決め、プレミアリーグ通算100ゴールに到達。

<2018-19シーズン>

実は、ハリー・ケインは8月にプレミアリーグでゴールを決めていなかったが、このシーズンはフルアム戦でゴールを決め、そのジンクスを払拭。

2月にはCLベスト16のドルトムント戦で得点し、クラブ史上最多の欧州大会得点を記録した。

しかしシーズン後半、マンチェスター・シティ戦で足首を負傷し、残りの試合を欠場。

CL決勝で復帰したものの、リバプールに敗北し、負傷後の起用が議論の的となってしまった。

<2019-20&2020-21シーズン>

2019-20シーズンの6月のウェストハム戦でプレミアリーグ200試合出場を達成した。

2020-21シーズンには、11月のヨーロッパリーグ・ルドゴレツ戦で、ハリー・ケインはトッテナムでの300試合目出場と同時に通算200ゴールを達成。

12月のアーセナル戦ではトッテナムでのホーム通算100ゴール目を記録し、ノースロンドンダービー史上最多の通算11ゴール目を決めた。

最終節レスター・シティ戦では23ゴール目を決め、3度目のゴールデンブーツを受賞。

さらに、プレーメーカー賞も同時受賞し、同一シーズンに両賞を獲得した史上2人目の選手となった。

<2021-22シーズン>

なかなかタイトルに恵まれないハリー・ケインは夏にトッテナム退団の意向を示したが、最終的に残留を決意。

8月から11月までリーグ戦では2得点にとどまる不調が続いたが、アントニオ・コンテの監督就任、1月にクルゼフスキとベンタンクールが加入したことで、シーズン後半に大きな復調を見せた。

<2022-23シーズン>

第3節ウルブズ戦でクラブ通算250ゴール目を達成。

また、1クラブでのプレミアリーグ最多ゴール記録も更新。

さらに、2月のマンチェスター・シティ戦で267ゴール目を決めてトッテナムの歴代最多得点者となった。

ハリー・ケインはこのシーズン30ゴールを挙げ、得点ランキング2位でフィニッシュした。

バイエルン・ミュンヘンへの移籍

数々の記録を打ち立て、アカデミー出身からトッテナムのレジェンドに登り詰めたハリー・ケイン。

そんな彼との別れの日がついにやってきてしまう。

ここ数年移籍の噂が絶えなかったケインは、2023年8月、ついにドイツの名門クラブ、バイエルン・ミュンヘンに移籍。

2023-24シーズン、ケインはブンデスリーガで32試合に出場し、36ゴールを記録。

ブンデスリーガ得点王に輝き、その実力を改めて世界に証明した。

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