【戦術解説】モウリーニョの攻撃と守備の秘密:堅守速攻とバスを停める戦術

モウリーニョの基本戦術

「スペシャルワン」の異名をもつジョゼ・モウリーニョ。

彼はチャンピオンズリーグを制覇するなど、これまで様々なタイトルを手に入れてきた。

今回はモウリーニョの基本戦術と、トッテナムやローマでの攻撃・守備の詳細を解説する。

攻撃面

ロングカウンターを使うシンプルな攻撃

ジョゼ・モウリーニョは堅守速攻を好む監督である。

そのため、前線にはボールを収められるターゲットマン(例:ケイン、ルカク)を配置。

マイボールになったら、フォワード(FW)にボールを預けて味方が上がる時間を作り、カウンター攻撃からゴールを狙う。

また、正確なパスを出せ、チャンスメイクができる選手(例:ディバラ)をミッドフィルダー(MF)に配置する。

基本的には、このFWかMFにボールを届けるのが目的となり、そこから攻撃が始まる。

守備面

パーキング・ザ・バス(バスを停める)

パーキング・ザ・バス(バスを停める)というのは、自陣ゴール前に多くの選手を配置することで、失点リスクを抑える戦術のことである。

ジョゼ・モウリーニョはこの戦術を採用することが多く、積極的に前からプレスをかけてボールを奪うことを好まない。

ハイプレスはショートカウンターにつなげやすいが、その一方で失点リスクが高くなるからだ。

そのため、ジョゼ・モウリーニョは守備時に「5-4-1」のブロックを作る。

ゴール前に2つの守備ライン(バス)があることで、相手はゴールの奪うのに苦戦する。

もう少し具体的に見ていくと、中央のパスコースをしっかり閉めて、ボールがサイドに流れるように誘導。

さらに、守備者としてハードワークを惜しまない選手(例:ホイビュア)を配置することで、中央から崩されるリスクを最小限に抑える。

中央から崩すのが難しくなると、相手はサイドからクロスボールを上げることが多くなる。

クロスボールからの失点を防ぐために、ジョゼ・モウリーニョは空中戦に強いセンターバック(CB)を起用している。

【まとめ】

基本戦術:堅守速攻

攻撃:ロングカウンターを活用する

守備:自陣に選手を多く配置し、失点リスクを減らす

FW:ボールを収められるターゲットマン

MF:チャンスメイクに長けている選手、運動量が豊富なハードワーカー

CB:空中戦に強いセンターバック

モウリーニョのトッテナム時代の戦術

ここからは、トッテナムとローマ時代のジョゼ・モウリーニョの戦術について簡単に説明する。

【攻撃】

トッテナムでは、ハリー・ケインが9番と10番両方の役割を担っていた。

そのため、攻撃の目標はまずケインにボールを預けることである。

ケインがボールをもらいに下がり、相手のセンターバック(CB)の1枚を釣り出す。

また、両サイドバック(SB)が高い位置に上がり、相手のサイドバックをピン止めする。

こうして相手のディフェンスラインをずらした状況を作り、ソン・フンミンがケインのパスに合わせて走り出す。

あとは、爆発的なスピードと決定力があるソン・フンミンがそのままゴールを決めることもあれば、サイドからクロスボールを上げて、ペナルティーエリアに侵入した選手が決めることもある。

ケインとソンはプレミアリーグでのゴールコンビネーションの記録を更新したが、それはジョゼ・モウリーニョが攻撃の中心を彼らに任せたからだ。

【守備】

守備では、まずどちらかのサイドにボールを誘導する。

そして、サイドに入った時、ウィンガー(WG)とミッドフィルダー(MF)、サイドバック(SB)、センターバック(CB)で挟み、多角形の鳥かごを作る。

狭いゾーンに選手を密集させるのは、相手にパスを出しにくくし、ミスしやすい状況を作るためだ。

そこで、ボールを奪ったら、先ほど述べたようにケインにボールを預け、カウンター攻撃を始める。

また、ジョゼ・モウリーニョはセンターバック(CB)にトビー・アルデルヴェイレルトを起用していた。

これは、彼がロングバスに長けており、ケインにパス供給をしやすくするためである。

モウリーニョのローマ時代の戦術

【攻撃】

トッテナムではケインにボールを預けることが目的だったが、ローマではディバラにボールを届けることが攻撃の目的である。

また、重戦車のルカクも攻撃の重要なピースだ。相手DFがディバラのマークに集中していると、ルカクに簡単にボールを収められ、そこからカウンター攻撃が始まってしまう。

逆にルカクに集中していると、ディバラにボールが簡単に届いてしまい、そこから崩されてしまうリスクがある。

つまり、相手DFはルカクとディバラどちらにマークをつくか、一瞬迷いが生じてしまう。

【守備】

ローマの監督時代、ジョゼ・モウリーニョは「5-3-2」を採用していた。

5-3-2はピラミッドの形をしており、5-4-1と比べてボールをサイドに誘導しやすい。

また、2トップが守備ブロックを作ることで、相手のミッドフィルダー(MF)へのパスコースを遮ることができる。

ジョゼ・モウリーニョは5-3-2を採用することで、中央から崩させるリスクを減らしていた

万が一中央にボールが入ったら、センターバック(CB)がプレスをかけ、相手の中盤選手に前を向かせないようにする。

また、攻撃⇒守備の時、前からプレスをかけることもあった。

2トップの選手が相手のセンターバック(CB)にプレスをかけ、ボールをサイドに流れさせる。

サイドにいる相手選手にボールが渡ったら、ウィングバック(WB)が一気にプレスをかけ、ボールを奪いにいく。

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