トッテナムのクリスティアン・ロメロは、なぜ高く評価される一方で、「危険」「カードが多い」という印象も持たれているのだろうか。
前に出る守備は長所なのか、それともリスクなのか。
トッテナムの最終ラインで、ロメロはどんな役割を担っているのか。
こうした疑問を感じている人は少なくないはずだ。
本記事では、ロメロの各種データをもとに、彼のプレースタイルやセンターバックとしてのタイプ、トッテナムでの戦術的な役割を整理していく。
さらに後半では、他のプレミアリーグのCBと比較しながら、ロメロの強みを明らかにする。
この記事を読み終えたとき、ロメロのプレーは「危なっかしい守備」ではなく、意図された役割を持つ強さとして見えてくるはずだ。
試合観戦がより面白くなる視点を掴むためにも、ぜひ最後まで読み進めてほしい。
結論|クリスティアン・ロメロはストッパー型CB
まずはセンターバックをタイプ別に分けて、クリスティアン・ロメロがどのタイプなのかを見ていく。
今回センターバックを以下の4タイプに分類してみた。

この分類に当てはめると、クリスティアン・ロメロはストッパー型に該当する。
ストッパー型とは、空中戦や1対1の局面で強さを発揮するセンターバックのことだ。相手FWの封じ込みやクロス対応など、ペナルティエリア内での決定的な局面においても力を発揮する。
では、なぜロメロがストッパー型に分類されるのか。
それはロメロが
・タックル数とインターセプト数で非常に高い数値を記録している
・ボール奪取数においても、他の選手より優れた結果を残している
からである。
このことから、ロメロが前に出て相手を止める守備を得意とするセンターバックであることが分かる。
各スタッツの詳細については、次以降の項目で詳しく解説していく。
クリスティアン・ロメロの基本情報
まずはクリスティアン・ロメロの基本情報とクラブ経歴についてまとめてみた。
■ 基本情報
生年月日: 1998年4月27日
身長:185cm
国籍:アルゼンチン
ポジション:センターバック
利き足:右
■ クラブ経歴
アルゼンチンのベルグラーノでプロキャリアをスタート。
2018年にイタリアのジェノアへ移籍し、ヨーロッパ挑戦を果たす。
ジェノアでの活躍を受け、2019年にユヴェントスが獲得。
ただし実戦経験を積むため、アタランタへレンタル移籍すると、ここで才能が一気に開花。
セリエA屈指のセンターバックとして評価を高め、2020-21シーズンにはセリエA最優秀DFに選出された。
2021年にトッテナム・ホットスパーへローン移籍、2022年に完全移籍。
データから読み解くクリスティアン・ロメロのプレースタイルと強み
ここからFBref(https://fbref.com/en/)のデータをもとに、クリスティアン・ロメロのプレースタイルや強みについて分析する。
センターバック離れした攻撃貢献

xAG: Exp. Assisted Goals :97
npxG + xAG:94
クリスティアン・ロメロはセンターバックでありながら、攻撃に関するスタッツも非常に高い数値を記録している。
特に目立つのが、xAGとnpxG + xAGだ。
xAG(Exp. Assisted Goals)は、「そのパスがどれくらいゴールにつながりそうだったか」を数値化した指標である。この数値が高いということは、ロメロがゴールに近い位置や、決定機になりやすい形で味方にパスを出していることを意味する。
また、npxG + xAGは、PKを除いた
「自分でゴールを決める期待値(npxG)」と「味方のゴールを演出する期待値(xAG)」を合計した数値である。つまり、どれだけゴールに直接関与しているかを示す指標と言える。
これらのデータから分かるのは、ロメロは守備でボールを奪った後もプレーを終わらせず、前に出て攻撃の局面に関与するセンターバックということである。
データが示す、前に出て潰すアグレッシブなCB

Tackles:83
Interceptions:78
次に守備スタッツを見ていく。
ここから分かるのは、クリスティアン・ロメロが、相手の攻撃を未然に断つことを得意とするセンターバックだという点だ。
ロメロはタックル数が多く、相手を待って対応するのではなく、前に出て1対1で止めにいく守備を選択していることが分かる。
さらにインターセプトの数値も高く、フィジカルだけに頼らず、パスコースを読む判断力にも優れている。
これらのデータが示しているのは、ロメロが「最後に守るCB」ではなく、攻撃が形になる前に潰しにいく能動的なCBだということだ。
なぜロメロはカードが多いのか?プレースタイルから理由を解説

上記のデータは、各シーズンにおけるクリスティアン・ロメロのカード数をまとめたものである。この表から分かる通り、ロメロはカードを受ける回数が多い選手だ。
では、なぜここまでカードが多くなるのか。その理由は、彼のプレースタイルにある。
前述したように、ロメロはタックル数やインターセプトの数値が高く、相手を待つのではなく、前に出てボールを奪いにいく守備を得意としている。こうした能動的な守備は、攻撃を未然に断てる一方で、判断が一瞬遅れた場合にはファウルになりやすい。
強気の守備でチームを支える反面、そのリスクも同時に引き受けている点が、彼の評価が分かれる理由の一つとなっている。
トッテナムでの戦術的役割|アグレッシブな守備がチームに与える影響とは?
守備を前に押し上げ、攻撃の起点にもなるロメロの役割
クリスティアン・ロメロは、トッテナムの最終ラインにおいて、前線寄りのアグレッシブ守備を担っている。
FBrefのデータからも分かる通り、インターセプト数が高く、ロメロは受け身で守るタイプではない。相手のパスコースや判断を先読みし、自ら前に出て攻撃を潰しにいく守備を特徴としている。
また、ロメロの強みは守備で止めるだけにとどまらない。
ボールを奪ったあとの切り替えが速く、奪取からそのまま前進の起点となれる点も戦術的に重要だ。最終ラインでプレッシャーをかけてボールを回収し、攻守の切り替えを一気に加速させている。
まとめるとロメロは、
- 前に出て相手の攻撃を未然に防ぐ
- ボール奪取から素早く攻撃へつなげる
この2つを高いレベルで実行できる、トッテナムの守備を前方向に押し上げるキーマンとして機能している。
クリスティアン・ロメロとファン・デ・フェンの関係性
クリスティアン・ロメロのアグレッシブな守備を最大限に活かしている存在が、同じ最終ラインを組むミッキー・ファン・デ・フェンである。
ロメロは、相手のパスコースや判断を先読みし、ディフェンスラインから前に出てボールを奪いにいくタイプのセンターバックだ。
一方のファン・デ・フェンは圧倒的なスピードを武器に、ロメロが前に出た背後のスペースをカバーする役割を担っている。
この2人の関係性を整理すると、
・ロメロが前に出て積極的に守備を仕掛ける
・ファン・デ・フェンが背後のスペースをスピードで消す
という明確な役割分担が成り立っている。
プレミアリーグCBとの比較|データで見るロメロの際立つ強み
最後に、プレミアリーグ所属のセンターバックとクリスティアン・ロメロを比較していく。
今回はDataMB(https://datamb.football/)のデータをもとに、ウィリアム・サリバ、ガブリエウ・マガリャンイス、ルベン・ディアスとのスタッツを比較する。

ボール奪取数に表れるロメロの積極性
クリスティアン・ロメロは、他の3選手と比べてPoss won(ボール奪取数)の数値が際立って高い。
この指標は、単に相手に対応するだけでなく、パスカットや対人守備を通じて実際にボールを奪えているかを示すものだ。
このデータから分かるのは、ロメロが受け身で守るセンターバックではないという点である。
相手のパスコースや判断を先読みし、ディフェンスラインから前に出てボールを奪いにいく守備を得意としており、そのアグレッシブなプレースタイルが数値にもはっきりと表れている。
空中戦勝率が示すロメロの強さ
Aerial duel%(空中戦勝率)についても、ロメロは今回比較した選手の中で最も高い数値を記録している。
この数値は、ロメロが空中戦において安定して主導権を握れていることを示している。
ロメロは相手の攻撃を早い段階で潰しにいく一方で、押し込まれた状況でも空中戦で競り勝つことができる。
そのため、相手にクロスやロングボールを多用されても、最終局面で簡単に決定機を作らせない守備を実現している。
まとめ
クリスティアン・ロメロは、データが示す通り、タックルやインターセプトで相手の攻撃を未然に断つ、ストッパー型CBである。
カードが多いという評価も、守備の甘さではなく、前から止めにいく役割を引き受けている結果だ。
トッテナムでは、アグレッシブに前へ出て守備を担い、その背後をカバーするファン・デ・フェンとの役割分担の中で、最終ラインを前方向に押し上げる重要な存在となっている。
ロメロのプレーは、リスクと表裏一体だが、それこそがチームに強度と勢いをもたらしている。
本記事で整理した視点を持って試合を見れば、ロメロの一歩前に出る守備やボール奪取が、より意味のあるプレーとして映るはずだ。

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